16ビートパラディドル奏法の弾き方・練習方法

前回で16ビートパラディドル奏法の基本的な作り方・考え方までわかってもらえたと思います。

ここからは実際に16ビートパラディドル奏法をどのように弾けばよいのか、またその練習方法の流れまで徹底解剖します!

16ビートパラディドル奏法の弾き方と練習のコツ

まずは目指すべき完成形を確認しましょう。練習用の例題(易しめ)はこんな感じです↓

はいということでさっそく練習に入りたいところなのですが、その前に必ず知っておくべきことは、初めてこの奏法に挑戦する人がいきなり最初からこの完成形を練習し始めるのは得策ではないということなのです。

なぜかというと、この完成形はいくつかの別々のスキルの複合として成り立っているからです。

例えばあなたはこれから「一輪車に乗りながらけん玉をする」という曲芸をマスターしようとしている、とします。そんなとき最初から「一輪車に乗りながらけん玉をする」という完成形の練習をしますか?

そんなことはしませんよね。きっとまず「一輪車に乗る」という技術だけを集中して磨いて難なくできるようにして、その後にまた別で「けん玉の練習」も同じようにやって、それぞれが完璧になってからようやくその二つを同時にやる練習をするはずです。

そりゃそうです、そうでないと無謀なのは目に見えています。いきなり「難しい×難しい」の合わせ技を練習してできるようになるほど人間は器用ではないということを私たちは知っています。

だからこそ含まれている技術を細かく分解して、一つ一つを無意識にできるようになるまで習得してから先へ進むわけですよね。

今言った話と全く同じように、16ビートパラディドル奏法もいくつかの技術が折り重なってできています。

問題は「一輪車×けん玉」のようにわかりやすく合わせ技になってはおらず、一見すると「ピアノを弾いているだけ」という一つの技術にしか思えないため、いきなり完成形から始めようとしてしまうのです。

よってこの「ピアノを弾いているだけ」という大雑把な解像度での見方からさらに一歩進み、その先の細かい要素を捉えて上手くタスクを分解していくことが重要になってきます。

では実際にその分解をしてみるとしましょう。

  • STEP.1
    リズムだけを練習する
  • STEP.2
    左手だけに集中する 
  • STEP.3
    メロディを入れる 
  • STEP.4
    完成形を弾く 

それではいよいよこの手順に沿って実際にチャレンジしてみましょう!分解されたスキルを一つ一つゆっくりこなしていけば何も怖いことはありません!

STEP1 リズムだけを練習する

まずこの奏法を弾きこなす前に、大前提としてリズムがしっかりとらえられているか、体に染み込んでいるかというところが重要です。

リズムだけ取り出してやってみてそれが上手く出来ていなかったら、音程なども含めた状態で弾けるわけがないですからね。

今回の例でリズムだけ取り出したものを見てみましょう。

このように「右手のタイミングと左手のタイミング」という二種類だけの最もシンプルな状態にして手を叩くなりリズムを取ってみるということをするのです。

これがすんなりできたのであればもう次に進んでもいいレベルの人です。しかしまだ無意識レベルではできないよという人はここをまず徹底的に練習しましょう。

そもそも全然手に負えない状態ですという場合は頭が追いつくくらいまでテンポを落とすということをしましょう。

そのテンポで練習して手が勝手に動くようになったらだんだんとテンポを上げていきましょう。求めるテンポまで自然に手が動くようになったらSTEP1はクリアです。

はりきってSTEP2に進みましょう!

STEP2 左手だけに集中する

ここからはもう鍵盤を使っていきます。とはいえまだまだゆっくり進みますよ。STEP2では左手の動きをマスターすることを目標にします。

左手はもう本格的に動き出す一方、右手はSTEP1と同じままでどこかの一音をただリズム通りに弾いていればOK。

右手が入るタイミングに対して左手を入れるという意識をここでしっかり頭に叩き込みます。あまりにも手に負えないと思ったときはやはりSTEP1と同様にテンポを頭が追いつくレベルまで下げて挑戦します。

特に集中的に練習するべきなのが16分音符が連続しているところです。左右の連携を上手くやらないと16分音符の粒立ちが消えてぐちゃっとした印象になってしまうため、ここがこの奏法で最も肝要な部分といえます。

ちなみに、16ビートパラディドル奏法でも実際の演奏時にはもちろんペダルを適度に使っていきますが、最初の練習段階ではあえてノンペダルでやるのがいいでしょう。

ペダルを踏んでいるとパラパラ感が出ているのかどうか聴こえにくいので練習にはあまりいい効果はありません。

実際の演奏でもペダルはかなりシビアで、16分音符が連続するところをクリアに聴かせるために頻繁にペダルの踏み替えをする必要があります。

指の方の動きが体に染み込んで余裕が出てきたら、この辺りのペダル操作も含めて練習するとより実践的でしょう。

STEP3 メロディを入れる

先ほどまでほったらかしにしていた右手の動きをSTEP3からは稼働させます。

まずはメロディを単音で入れるところから始めましょう。

STEP2までしっかり身に付けられている人ならばここは多少の慣れですぐに弾けるようになるでしょう。

何度も言いますが、まずは頭が追いつくくらいのテンポで練習することです。

STEPをあげた瞬間それまでのSTEPに比べ脳が処理しなければならない問題が少し増えるので、通常はテンポを落とさないと頭がパンクします。

無意識に指が動く感覚を手に入れ次第テンポを上げていく、このことを忘れないようにしましょう。

単音メロディがクリアできたら次は厚みを出すために右手もいくつかの和音を足してメロディに厚みを加えましょう。

この辺までくればもうどこに出しても恥ずかしくない立派な16ビートパラディドル奏法の演奏と言えます!

STEP4 完成形を弾く

いよいよ仕上げの最終ステップです。メロディをオクターブで弾いてみましょう。

オクターブでメロディを弾くというのはSTEP3からそこまで変わらないように見えますが体感難易度としては結構上がると感じられるでしょう。

その理由としては鍵盤上の音域を広く使うことになるのと、右手の跳躍動作が増えるというところでしょう。その分の処理能力をプラスで使うことになるので意外と大変なのですね。

しかし前回記事でも言った通り、16ビートパラディドル奏法ではメロディをオクターブで弾くことを基本として考えたほうが後々のことを考えるとメリットがあります。

そう、右手のリズム補助というテクニックでしたね。もちろん今回の例ではそのテクニックは登場していませんが、それも結局はメロディの動き次第。

16ビートパラディドル奏法で弾きたいと思った曲のメロディが右手のリズム補助が必要なものだった場合には避けて通れない道になります。いずれにせよ練習しておくに越したことはないでしょう。

いろいろなパターンの実践例題集

今回の記事では一つのメロディパターン例を取り上げて実践的な練習の流れを紹介しました。とはいえ、この16ビートパラディドル奏法はメロディのリズムパターンに応じた左手の入れ方が非常に多種多様です。

真にこの奏法を弾きこなせるようになるには様々なメロディのリズムパターンに対してそれに合った左手の入れ方を知り、練習し、無意識に弾けるまで体に染み込ませていく必要があります。

16ビートパラディドル奏法の仕組みを知って自分なりに奏法を考えていくのも楽しいですが、やはり学ぶ上で最も重要なのが「まずは定番パターンの実例を知ること」でしょう。

いくつかの実例をインプットすれば奏法の組み立て方も実感としてわかり、最終的には自分で組み立てることもできるようになるのです。

そこまでの最短経路はやはり定番パターンをまず押さえること。あらゆるパターンを0から考えるのは大変なのでそれは代わりにずっしーがやっておきました。

16ビートパラディドル奏法をマスターしたい方はぜひこの16ビートパラディドル奏法の実践例題集をご活用ください!

16ビートパラディドル奏法の実践例題集① ~基本パターン編~

頻出のメロディリズムパターン「4+4+4+4」型「3+3+3+3+2+2」&「6+6+4」型に使える16ビートパラディドル奏法の弾き方・運指法を圧倒的な網羅率で紹介、解説しつくします。

16ビートパラディドル奏法の実践例題集② ~応用パターン編~

①で解説した基本パターンを土台にし、複合型などの更なる多様なメロディパターンに対応するための奏法例組み立て方のロジック基本形からの流用のコツを伝授。また例外的・不都合なメロディパターンへのそれぞれの対処法もすべて解説します。

16ビートパラディドル奏法の実践例題集③ ~こんなときどうする編~

コードの切り替わりが速い曲での16ビートパラディドル奏法の適用の仕方、様々なコードの形による弾きやすさ・弾きにくさとその対策について。最後にここまでの全てのテクニックを総合的に活用し、実際に曲を16ビートパラディドル奏法を用いて実践的にアレンジした例をお見せします。

16ビートパラディドル奏法の実践例題集 マガジン①~③

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