魔法の伴奏

TwitterやYouTubeで話題となりフジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「ビートたけしの知らないニュース」に取り上げられた魔法の伴奏について。作ろうと思ったきっかけから原理、理論的な背景まで丸わかり解説。

「島村楽器 × 魔法の伴奏」でコラボ企画実施中です!(2018/09/18~)


魔法の伴奏とは

黒鍵を適当に弾くだけで曲っぽく聞こえる

まずはこちらの動画をご覧ください。

動画にあるようにこの魔法の伴奏に乗せて黒鍵だけを適当に鳴らすとそれっぽい曲になるのです。

まずは皆さんも実際に体感してみてください。伴奏を弾ける人がいれば一緒に。一人なら動画の音に合わせて弾くだけでもOKです。

お近くの鍵盤なんて無いよ!という方はスマホの無料アプリのピアノなどでもいけますよ。とにかく魔法の伴奏、ただただ楽しいのでやってみてほしいです。

伴奏の楽譜はPiascore(ピアスコア)で無料で配信していますのでぜひダウンロードして練習してみてください!

魔法の伴奏の楽譜へ

生まれたきっかけ

知ってる人は知っている

この魔法の伴奏。実は音楽の理論を少しでもかじっている人なら「まあ当たり前といえば当たり前」と言いたくなるものなんですね。知ってたよ~昔から似たような遊びやってたよ~という人けっこういるんじゃないですかね。

僕自身これを「よっしゃ!世紀の大発明しちゃったよ、すげえっしょ!」なんて言うつもりは全く無くて・・・

ピアノという孤独

ピアノって基本的に孤独な楽器なんです。ギターとかサックスでもほかの楽器ってバンドで演奏したりオーケストラとかみんなで合奏することが多いんですけど、ピアノって一人なんですよね。ピアノという楽器自体のポテンシャルが高いからそれ一台でどんな曲でも弾けちゃう、ゆえにたった一人で黙々と完成度を追求していく・・・そんな孤高の楽器。

いや、さみしいんですよね。

一人で引きこもってピアノを弾き続けている中で思った。誰かとワイワイたのしくセッションとかしたいな、喜びを分かち合いたいな・・・と。そんな気持ちからこの「魔法の伴奏」は生まれました。音楽やったことない人にだって楽しめるように、小難しいことは自分が引き受けて何も考えなくても自由に弾いて楽しんでもらえるようなもの作ってしまえと。

音楽理論の入り口として

実際動画を出す前からリアルの友達とかにやってあげたりしていました。やっぱりけっこう喜ばれるんですよね。

ピアノって最高に楽しいんですけど、その楽しさを感じるところまでがけっこう大変で、やっぱり挫折してしまう人が多い。でもこれならピアノ触ったことない人でも楽しめます。

動画を作るときに思ったのは「どんな人にでも楽しめるしできるだけ多くの人に知ってほしいな~」ってこと。さすがにあんなに拡散されるとは予想していませんでしたが・・・

ついでにただ楽しむだけじゃなくてこれを入り口として魔法の伴奏の仕組み、音楽理論の方に興味を持ってもらいたいと思いました。コードとかわかるようになると世界広がるよ!いろいろ自由にできて最高に楽しいよ!ってことをやっぱり伝えたいんですよね。ここでもやはり孤独、同じピアノやっててもそういう理論の話アレンジの話コードの話で盛り上がれる人が周りにいなくてずっと独りだったわけです。

だから音楽理論に興味を持ってくれる人を一人でも多く増やしたい。正直言うとそれが僕の一番の願いなんです。

魔法の伴奏の理論的な背景

動画の中でも説明していますが、いかんせんあの短い時間の中ですべてを伝えることはできないものでして。動画じゃ何言ってるかわからなかったぞという人は是非読んでみてください。

魔法の伴奏の原理を理解するためのポイントは3つです。

魔法の伴奏のしくみ3つのポイント
  1. 曲の調(キー)の話
  2. ペンタトニックスケール
  3. コードの工夫

曲の調(キー)の話

みなさん曲の調(キー)というのはご存知でしょうか?そうですカラオケなんかでキーを上げる下げるとか言ってるアレです。

これからコード進行など学んでいこうとしてる人で「調(キー)のことよくわからん!」って人はここで絶対に理解しておきましょう。魔法の伴奏だけじゃなくすべての基本、土台といっても過言ではありません。ここを避けて進むことはできません、それはアルファベットを覚えずに英語を学ぼうとするようなものです。


現在みなさんが耳にするほとんどの曲は調(キー)に基づいた調性音楽です。なにやら難しそうな言葉ですが、調性音楽というのはものすごいざっくり言うと「ある法則で並べた音階で作られる音楽」です。

下のピアノの鍵盤を見てみましょう。

ピアノの白鍵と黒鍵はなぜこの並びなのか?

実はこれ、先ほどの「ある法則で並べた音階」ってやつがめちゃくちゃわかりやすいようになってます。

もう見たまんま、白鍵がその音階になっていて黒鍵が選ばれなかった音達です。

これまたすごいざっくり言うと、「この白鍵だけを使えばキレイな和音、キレイなメロディができますよ」っていう音階なんです。あの有名なスピッツのチェリーなんかまさにこれですね、白鍵だけで作られた実にシンプルで綺麗な曲。

つまりですね、このキレイな白鍵の並びの音階で作られてる音楽が調性音楽だと思ってくれていいです。


でもここであることに気付くわけです。

この並びのまま基準の音を変えても成り立つのでは?

ドの音から始まって2つ隣2つ隣1つ隣2つ隣2つ隣2つ隣1つ隣・・・を繰り返してるわけだから、例えばレの位置から始めてもいいんじゃないか、と。

こんな感じ。

今度は選ばれた音が白鍵だったり黒鍵だったりしてさっきよりわかりづらくなりましたね。でも同じ性質の音階なんですよ。わかりやすく色も一緒にずらしてみましょう。

(逆にわかりづらいか・・・)

要するに最初の白鍵だけの音階を全体丸ごとスライドさせただけなんです。カラオケでキーを変えたときはつまり曲全体を丸ごとスライドさせてるってことなんですね。

お気づきでしょうか?これ、スライドさせ方によっては黒鍵がたくさん入ってくる音階も出てくるということに。

そうです。「魔法の伴奏」にちょっと近づいてきましたよ。

ペンタトニックスケール

ようやく出てきました。最大のキーワード「ペンタトニックスケール」。スケールというのは英語で音階のことを指します。

ペンタトニックスケール、直訳すると「5音の音階」。いったいどんな音階なのでしょうか。

先ほどの白鍵だけの音階をもう一度見てみましょう。

ちなみにこれ「ダイアトニックスケール」って名前がついてます。日本語だと全音階っていいます。

先ほどこの「ダイアトニックスケール」の音を使えばキレイなメロディができますよって言いましたね。ところがまあ、何でもかんでもキレイになるかっていうとそうでもないんです。中にはちょっと気を付けて使わないと嫌な響きになっちゃうやつがいるんですよ。

結論から言ってしまうとそいつらは「ファ」と「」です。

なぜかっていう具体例をここで言ってるとすごい量になってしまうので簡単に言います。伴奏でいろんなコードを弾くわけですけど、このファをメロディに使うときに相性がいいコードがけっこう限られてるんですね。だから気を付けてファとシを使わないとヤバい響きが生まれてしまうんです。

その点ド、レ、ミ、ソ、ラは誰とでも仲良くしてくれる気のいいやつらです。わりとどんなコードでも馴染んでくれるフレンドリーさを持っています。

そんなわけで、

都合の悪いファはちょっと出ていってもらって、ドレミソラだけの音階にしちゃいましょう!

そう、これがまさにペンタトニックスケールなんです!

都合のいい5音の音階・・・いろんなコードと馴染んでくれるフレンドリーな5音だけを集めた便利なスケール・・・

それがペンタトニックスケールです。

だから誰かに適当に伴奏弾いてもらって、ペンタトニックスケールを適当に鳴らせばそれだけで曲っぽく聞こえちゃうわけです。


だがしかし。

初心者の人とかピアノを触ったことない人からすれば、ペンタトニックスケールそんなパッと簡単にわからないですよね。

ファとシ以外弾けばいいって言われてもやっぱり練習しないとなかなか・・・

ここで先ほどの「音階全体丸ごとスライド」の登場です。

このペンタトニックスケールのドレミソラの並び。なんかちょっと黒鍵の並びに似てませんか?

なんと実は、6つ隣に音階全体をスライドさせると、

ペンタトニックスケールが黒鍵とぴったし重なるんです!

これなら「どの音がペンタトニックスケールなんだ~」なんて迷うことなく黒鍵だけ弾いていれば勝手にペンタトニックスケールをなぞることができますね。

あとはこの音階に沿って伴奏を誰かが弾いてくれれば自由にペンタトニックスケールで即興ができてしまう。

それが「魔法の伴奏」の正体です。

ちなみに元々の白鍵だけのスケールの調をハ長調(Cメジャースケール)と言って、上のうまくスライドさせた後のスケールの調を変ト長調(G♭メジャースケール)と言います。

つまり、魔法の伴奏とはG♭メジャースケールで伴奏を弾いてあげることでペンタトニックスケールを黒鍵でわかりやすくしてくれるものだったのです!

コードの工夫

ここからはちょっとおまけ。はじめて音楽理論に触れる人はサラッと読み流しちゃっても構いません。

変ト長調で伴奏を弾けば魔法の伴奏ができあがると言いましたが、それだけだとまだちょっと不十分です。実はコードにちょっとした工夫をしてあります。

  • アヴォイドノートの発生を避ける
  • コードの変化を速める
  • 多くの人がなじみのあるコード進行を使う

まず一つ目。アヴォイドノートの発生を避ける。

アヴォイドノートというのは簡単に言うと「使わない方がいい音」のことです。ペンタトニックスケールは万能音階だと説明しましたが、本当にどんなコードでも馴染むわけではありません

いかなるシチュエーションでも5音全部使って大丈夫、という状態にしなくてはならないのでセカンダリードミナントサブドミナントマイナー系のコードはほとんど使えません。ほぼダイアトニックコードで構成することになります。

唯一使えるセカンダリードミナントコードはGb7です。このコードの上ではペンタトニックスケールのどの音を使っても平気です。なのでGb7をここぞとばかりにサビで登場させています。

また、伴奏部に導音(Fの音)が入っているとメロディでは主音(Gbの音)は厳密にはアヴォイドノートになりますが、これは実のところ使ってしまってもそんなに気になりません、あくまで僕の主観ですが。序盤の循環コードの中のCb/Dbというコードのように分数コードを用いて伴奏に導音(Fの音)が入るのを避けているところもあります。


二つ目のコードの変化を速める。これが個人的にかなり重要なポイントです。

「コードの変化を速める」というのは一つのコードから次のコードに移るまでの時間を短くするってことです。一つのコードの時間が長い中でメロディを適当に弾いてしまうとけっこう違和感が生じてしまいます

したがってメロディの適当さを伴奏のコードの変化の速さでカモフラージュしてるイメージですね。コードの変化が速いと例えばメロディが同じ音を連打してるだけでも結構それっぽく聞こえるんです。


最後、多くの人がなじみあるコード進行を使う。

まあこれは、誰でも楽しめるポップなものにしようと決めていたので実績のあるみんな大好きコード進行の力を借りることにしました(笑)

使っているのは6251の循環と、「王道進行」なんて名前もついている4536という進行。往年のJ-POPヒット曲の中でもサビでこの王道進行が使われている曲が山ほどあります。なのでこの素晴らしいコード進行の力を借りて・・・要するに受けを狙ったということです(白状)

現に頂いたコメントの中に「あの曲を思い出した」「あの曲のあの部分っぽい」といったものが結構ありました。


あとは伴奏のリズムも少し変わったものにしたところですかね。ピアノでリズムを凝ったアレンジはまだまだ普及してないなあと日ごろから思っているのもあり、みんなもっと面白いリズムに挑戦してみてほしいな~っていう願いもあったりするわけです。

そんないくつかの工夫もあってか「伴奏だけでもオシャレで良い」っていう声を頂いたりもして、大変嬉しく思っております。

この魔法の伴奏がみなさんのピアノのモチベーションになったり、音楽理論を学ぶきっかけだったり、そういうものになって頂けたならそれほど嬉しいことはありません。最後まで読んで下さりありがとうございました。

1 Comment

みら

こんばんは。初めまして。
ござさんのリツイートでTwitterから飛んで来ました、みらと申します。
大変面白い動画と解説です。参考になります。ありがとうございます。

当方、幼き頃より音楽に親しみ、ちょいとばかしピアノを触った程度の知識と経験があるだけなのに、自身の感性だけで作詞作曲を行い、現在は孤独にDTMで作成した楽曲をiTunesで配信してたりします(笑)。

音楽理論を全く知らずに、感性のみで曲作りをするので、コード進行が変、と言われておりますw。
最近はちゃんと音楽理論を勉強して、DTMの方もお勉強しないと…と思っておりますが、何をどーしたらいいものやら…という感じなので、ずっしーさんのこの様な動画や解説は大変参考になり、ありがたいです。これからも楽しみにしております。

ちなみに私の楽曲はYouTubeでも配信おります。もし何かで見かけたら観てやって下さいまし。

ちなみに 樹芽みら という名です。

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