同じコードなのに聞こえ方が変わるという話

ずっしーはコードについて何も知らなかった頃、ひとつ勘違いしていたことがありました。

もしかしたら今からコード進行や音楽理論を学ぼうと思っている人の中にも同じような勘違いをしている人がいるかもしれません。

この記事ではそんな「初心者が間違いがちなコード進行に関する認識」について解説します。

コードの響きはいつも同じ?

こちらの動画をご覧ください。

なぜこんなことが起こるのでしょう。不思議ですよね。

いくつかみなさんのコメントでも頂きましたが、いわゆる「錯視」のようなことが音楽でも起きているといったところでしょうか。

Wikipediaより「チェッカーシャドー錯視」)

この画像は非常に有名ですよね。AとBの部分は同じ色のはずなのに周りの環境によって見え方が変わってしまうというもの。

音楽でもこれと同じような現象が起きるのですね、前後にどういった音があるかでそのコードの聞こえ方が変わってくるということです。

しかし上の動画で起きたことは、どういう流れでコードが登場するかで響きが違ってくるという理由も関係しますが、今回の場合もっとそれ以前に重要なことがあります。

コードの役割は調で決まる

動画で出てきた3つのG7は、実は全て違う調で弾いています。見た目は全部G7なのですが、そもそもそれぞれの曲は調からして違っているのです。

これがどういうことなのかというと、それぞれのコードの機能は全く違うものになってくるということです。同じG7なのに。

一つ一つ見ていきましょう。動画で使われているスケールは一個目から順にハ長調変イ長調(曲調的にはヘ短調)、ニ長調となっています。

【曲1】ハ長調 / Cメジャースケール

【曲2】変イ長調 / Abメジャースケール

【曲3】ニ長調 / Dメジャースケール

 

それぞれスケールに使われている音が全然違いますね。ここにG7を足してみたらどうなるでしょう。

【曲1】ハ長調 / Cメジャースケール + G7

【曲2】変イ長調 / Abメジャースケール + G7

【曲3】ニ長調 / Dメジャースケール + G7

 

こうやって見ると同じG7でも使われている「音階の音」は全然違うっぽいですね、スケールにない音も入ってるようです。

これだとわかりにくいので全部ずらしてハ長調(Cメジャースケール)に直してから比べてみましょう!

【曲1】G7 → G7のまま

【曲2】G7 → B7

【曲3】G7 → F7

 

こうして調をそろえてみると、全然違うコードが使われていることがわかりますね。

そりゃあ、G7とB7とF7の3つが同じ雰囲気に聞こえないのは当たり前です。B7とF7に関してはハ長調で黒鍵(スケールにない音)の音まで入ってるくらいですし、変わった響きなはずです。ノンダイアトニックコードというやつですね。

これは本当に大事なことなので何度も言いますが、コードの機能や性格というものは調を基準に見たときの音の高さで決まります

一見同じG7を使っているだけに見えた3つの曲も、調を基準に見てみればそれぞれ全く違う機能のコードが使われていたということですね。

重要なことは、コードというものは「G7だからこういう響き」なんていう風に覚えていくものではないということです。

必ず「調を基準に見たときどんなコードなのか」を考える必要があるのです。

コードの度数表記

「調を基準に見たときにどんなコードなのか」を考える必要がある、と言ってもそんな簡単にできるかよというツッコミが入るかも知れません。

確かに慣れていなければ「Fm7 – Cm7 – Db – Ab」みたいなコード進行を見ても、「ふむ、これは〇〇調であのコード進行か」とすぐにはわからないでしょう。

そもそもコードネームというのはそれを基にアドリブをしたり演奏するのには向いているのですが、音楽のしくみを理解するのには向いていないのです。

じゃあ音楽のしくみを理解するための道具はコードネーム以外で何かあるのか、というと実はあります。

それが度数表記というものです。

度数表記ではアルファベットの代わりにローマ数字を使ってコードを表します。

例えばハ長調で「F – G – Em – Am」というコード進行があるとして、これを度数表記にすると「IV – V – IIIm – VIm」という風に書くわけです。

どういうことかというと「ドレミファソラシ」に対してドから順に「I, II, III, IV, V, VI, VII」と番号を振っているのです。

★ハ長調 / イ短調(Cメジャースケール / Aマイナースケール)の場合

このドレミファソラシは音名でなく階名です。なのでこのローマ数字「I, II, III, IV, V, VI, VII」も調によってずれていきます。

★変ニ長調 / 変ロ短調(Dbメジャースケール / Bbマイナースケール)の場合

つまるところ、コードの度数表記は「調を基準としたときの和音の役割を表すための名前」ということです。

おや?何か同じような意味のものが前にもありましたね。そうです、階名です。

音名が「絶対的な音の高さを表す名前」なのに対し、階名は「調を基準にした音の役割を表す名前」でした。

同じように、アルファベットのコードネームが「絶対的な音の組み合わせを表す和音の名前」なのに対し、コードの度数表記は「調を基準に見たときの和音の役割を表す名前」なのです。

そんなわけでコードのしくみを理解しようと思ったときには、コードネームではなく度数表記の数字で意識することが大事です。

ローマ数字なんてなじみがないんですけど・・・という方は普通の数字1,2,3,4,5,6,7で意識しましょう。ずっしーも頭の中ではそんな感じです。

コードの響きを覚えるならば「G7はこんな響き」ではなく、「V7はこんな響き」「VII7はこんな響き」といった風に考えましょう。普通の数字で考えるなら「5のセブンスはこんな響き」「7のセブンスはこんな響き」といった感じですね。

耳コピやアレンジのスキルを高めたいならばこの考え方は非常に重要です。いつ何時も調を基準に考えるという意識を持ちましょう。

 

ここで最初に戻って動画の3つのG7について考えてみます。

一曲目は V7(ハ長調でのG7)

二曲目は VII7(ハ長調でのB7)

三曲目は IV7(ハ長調でのF7)

になっていたんですね。数字でコードを意識できてる人なら見た目のG7に惑わされずこの3つのコードの機能を別々のものとして即座に認識できるのです


というわけで今回はコードの絶対的な名前ではなく調を基準にみたときが大事だよという話の解説でした。

調を基準に見てコードを数字で意識すればいつもV7はV7の響き、VII7はVII7の響きとして覚えていけるということがわかって頂けたかと思います。

でも実は、例えば同じV7でも前後にどんなコードが来るかによってもまた聞こえ方が変わってきたりします。このあたりもまた音楽の難しくも面白いところです。

その話も掘り下げるとけっこう深くなっていくのでその解説もまた別の記事で書いていこうと思います。ありがとうございました。

2 Comments

窪田和弘

ずっしーさんの動画は、とてもとても楽しみにしています。自分の頭に中にあったモヤモヤがすごく明快に表現されていてホッコリ嬉しくなります。
実は、私は今、3歳の子が度数表記を体感的に理解できるようになる「楽器」を試作しているのですが、ずっしーさんにこの試作品を見ていただいてdiscussion をしてみたいと強く思いました。もし、お時間いただけるなら是非よろしくお願いします。

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チー

ずっしーさんの音楽理論とてもたのしく拝見してます。私、ギター歴37年の50のオヤジです。最近息子がギターを始めたのをきっかけにピアノを始めたところですが、なかなかギター脳から抜け出せずにいた所、ずっしーさんのサイトを見てとても役に立っています。
これからもずっと応援してます頑張って下さい!

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