調(キー)と音楽のしくみ 前編

ここを見てくれている方はきっとこれから耳コピやアレンジを学ぼうと思っている方が多いと思いますが、具体的なやり方などの前に非常に重要なことを知っておかなければなりません。

すなわち調のしくみについてです。

ここは基礎でありながらこの先どこまでいっても常に関わってくる大切なところです。

ダイアトニックスケール

そもそもピアノの鍵盤はなぜこのような並びになっているのでしょう?

よくよく見ると不思議な並びをしています。白鍵と黒鍵が交互に出てきたりたまに白鍵が続いたり・・・

実はこれ、この白鍵だけ使っとけばキレイな曲ができまっせ!という並びなんです。

使っていい音とそうでない音を白黒で色分けしてくれてるんですね。

ピアノの鍵盤というのは隣同士が半音という音程で等間隔に並んでいます。そこで黒鍵だけを飛ばして白鍵だけの並びを見てみると

2コ隣2コ隣1コ隣2コ隣2コ隣2コ隣1コ隣・・・という繰り返しになっています。

いったい誰が考え出したのか、とにかくこの白鍵の並びを使うと美しく響く音楽が作れるのです。この並びをダイアトニックスケール(=全音階)と呼びます。無駄にかっこいいですね。

実際にダイアトニックスケールを使って曲を弾いてみるとこんな感じ。

うん、きれい

ともあれ私たちが普段耳にする音楽のほとんど全てがこのダイアトニックスケールを使って作られているんです。つまるところこれを知らずして耳コピもアレンジも始まらないってことですね。

12種類のスケール

「え?でも黒鍵使う曲なんてたくさんあるんじゃない?」と思った方、その通りです。白鍵だけの並びのはずの「ダイアトニックスケールでできている曲」でも黒鍵を使うことがあるんです!

実はダイアトニックスケールは先ほどの「2コ隣2コ隣1コ隣2コ隣2コ隣2コ隣1コ隣・・・」という規則さえ守っていればどの音を基準にしても成立できてしまいます。

全体を丸ごとずらしてもダイアトニックスケールはダイアトニックスケールなのです。

白鍵だけのダイアトニックスケール(ハ長調)

1つ右にずらしたとき(変ニ長調)

2つ右にずらしたとき(ニ長調)

こうやって全体を丸ごとずらすと、使う音自体は全然違ってくるのになぜか同じ曲に聞こえる。人間の耳は不思議ですね。カラオケでキーを上げ下げできるのはこういう仕組みなのです。

このようにずらしていくと全部で12種類のダイアトニックスケールが作れます。しかもそれぞれ全部鍵盤の並び方が違います。

音楽は音の絶対的な高さは重要ではなく「他の音との相対的な関係」で成り立っているということが言えますね。

パターンが見えない?

ここでひとつ重大なことに気が付きます。

全体をずらすことができるのは分かった。でも「ずらし方が12種類もあって全部鍵盤の並び方が違う」ってえらいことじゃないですか?

だって、例えば白鍵だけの調で「G7」っていうコードが出てくるとして、これと同じ機能のコードが他の調では「D7」だったり「F#7」だったりと見た目が全然変わってしまうんですよ?同じものだなってパッと見て分からないじゃないですか!

「Am – F – G – C」というコード進行を学んで、後で「C#m – A – B – E」というコード進行が出てきたときに「あ、これ前にやったのと同じだ!」って気づけないじゃないですか。

よほど頭の回転に自信がある人ならいざ知らず、少なくとも僕はできる気がしません。

人は何かを学習するとき、パターンを認識することによって成長していきます。同じものが同じに見えないというのは何かを学習する上で、はっきりいって最悪のコンディションなのです。

だから何も考えずに数をこなしているだけではいつまで経ってもコードのパターンが見えてこなくて、いつまで経ってもコードが苦手なまま・・・ってことになりかねません。

「小さいころから長くピアノをやっているけどコードとかアレンジとかは全然わからない」って人はもしかしたらこれが原因になっているのかもしれません。ではどうしたらいいのでしょうか?

この続きは後編↓にて

調(キー)と音楽のしくみ 後編

耳コピアレンジ習得法 へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です