調(キー)と音楽のしくみ 後編

ピアノの鍵盤では12種類の調のすべてが全く違った並びになってしまうのでコード進行などのパターンが見えづらくなる、という問題が出てしまいます。

これをどのように解決したらいいのでしょうか。

ごり押しは×

だったら初めに訓練して12種類の調全部同じように見れるようになっちゃおう!この12種類を丸暗記しちゃおう!)

って思う人もいるかもしれません。それはそれで大変結構なことなんですが、これに力を注ぎすぎることはあんまりおすすめはしません。なぜかというとめちゃくちゃ大変だからです。

というか僕も初めのころにトライしてたんですけどね。12種類という数の暴力に押しつぶされてまず間違いなく投げ出します。

最初はこのぐらいすぐ覚えられるだろと舐めてしまいがちですが、和音の種類や形って意外と多くて、それらも含めてわかるようにならないと意味ないんですね。

単純にスケールの形覚えただけでは共通点が見えるまでにはならないんです。しかも和音の種類、形などで覚える量は掛け算的に増えていきそれはそれはすさまじい試練になっていきます。

なので全部頭に叩き込んじゃえ!と気合でやろうとするのは思ってるよりかなり無理です。

しかもやってること自体は同じことなのに見え方が違うだけで、そのためだけに膨大な量を覚えなきゃいけないのって馬鹿らしくないですか?

そんなんだったらおもしろいコードのパターンの一つでも覚えていろいろアレンジできるようになりたいじゃないですか。

ということでひとつおすすめの方法があります。

ハ長調のすすめ

その方法は「どんな調も白鍵だけの調に直して考える」というものです。

はい。つまりですね、コードとか音楽理論を考えるときのベースとして、土台としてこの調を使うということです。

大事なのは視覚的にとらえること。頭の中で常にこのハ長調の風景を思い浮かべながら学んでいくのです。あるいは実際にハ長調に移調して確かめてみる。

そうすればどんな調のメロディやコードもハ長調という一つの舞台で比較できるので、それぞれの共通のパターンや微妙な違いをしっかり頭に叩き込めるというわけです。

それとなぜ他の調ではなくハ長調なのか。「量が多いからとりあえず一つの調を代表して」ということ以外に重要なことがあります。

それは「ダイアトニックスケールの音」と「ダイアトニックスケールのの音」の区別が一目瞭然だからです。言うまでもなく白鍵と黒鍵のことです。

そもそもピアノの鍵盤の形と白黒のデザインはこの二つを明確に見分けられるように作られているといっても過言ではありません。

なぜ簡単に区別できた方がいいのか?次の演奏を見て下さい。

白鍵と黒鍵の両方が出て来ましたね。でも今の曲じつは白鍵だけの調であるハ長調で弾いているんですよ。

そう、白鍵だけのはずの調でも黒鍵を使うことができるのです。調の外の音というのは別に使ってはいけない音ではないのです。

実はダイアトニックスケールの外の音というのはアレンジにおいての肝とも言えるものです。

いかに調性から外れた音をスパイスとして乗せられるか、というのが面白いところになってきます。

なので調性の外の音を使っている部分というのは音楽的に非常に重要なポイントだったりするんですね。⇒エモい音の正体「ノンダイアトニックコード」へ

つまるところ、ハ長調ならスケールの音とそうでない音が白鍵と黒鍵ですぐ見分けられるので、黒鍵が出てきたら「お、これは調の外の音が使われている!面白いコードが出てきたぞ!」とすぐに気づけるわけです。

これが他の調でやっていたらその重要なポイントを見逃してしまうかもしれません。

元々スケールに入っている黒鍵なのか、スケールの外の音の黒鍵なのか、あるいは白鍵なのにスケールの外の音だったりすることもあります。

 

これをすぐに見分けるにはある程度訓練して慣れていないと難しいのです。

そんなわけで、コードなど音楽理論を学ぶときには、まずはダイアトニックスケールが白鍵だけのハ長調(イ短調)をベースに考えるのが最適というわけです。


というわけで手っ取り早く音楽理論を習得したい人は頭の中にハ長調の鍵盤を思い浮かべてそこにイメージを定着させていくことをおすすめします。

ピアノ以外の楽器をやっている人でもこれは取り入れた方がいいと思います。鍵盤ほど音楽を目に見える形で理解しやすいインターフェースは他にないんじゃないでしょうか。

参考記事↓

「鍵盤」は音楽を学ぶ最強のツールである

このサイトの解説も特別な理由がない限りはハ長調(イ短調)を使ってやっていきます。

もちろん、最終的にはどんな調でもサッとわかるようになるのがベストですが、まずは余計なハードルを下げて挫折する可能性を少しでも低くしておくことが大事です。

みなさん誰でも最初はやる気に満ち溢れているのでどんな高いハードルもどんと来いや状態になってしまうのですが、それが三日と持たないことはよく知っていると思います(笑)。

なのである程度自分を甘やかすことを覚えないと結局すべてを放り投げてしまうことになりかねません。やめてしまうことが一番もったいないですからね。

さてここまでわかれば最低限の前提知識もばっちりです。

さんざん言ってきた「音感」について次の記事から掘り下げていくとしましょう。絶対音感?相対音感?果たして本当に必要な音感は・・・?

耳コピアレンジに必要な音感とは?

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2 Comments

a

キーのトランスポーズを変更してハ長調ハ短調だけで弾くというのはゆゆうたもよく使ってますね

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K

どんな調も白鍵だけの調に直して考えるのは解りましたが、黒鍵の調(元のキー)への戻し方について何かヒントはありませんか?

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