音感の鍛え方~音階編つづき~

移動ド唱法で音感を鍛えていけば、知ってるメロディや初めて聞いたメロディの階名(ドレミファソラシ)がわかったり、ドレミを見ればメロディを頭の中で鳴らしたり実際に口ずさめるようになります。これによって耳コピアレンジに欠かせないスキルを得ることができます。

ここでは移動ド唱法の具体的な取り組み方を見ていきましょう。ずっしーの体験談も織り交ぜながらポイントを解説していきます。

調を追いかけよう

これまでさんざん言ってきた「調」を基準に考えることが大事だという話。しかしながらこの調というやつを感覚としてわかってもらえないと移動ド唱法での訓練が空回りしかねません。まずは調の感覚を意識できるようになりましょう。

「頭の中の調」を意識する

私たちは何か音楽を聴いたとき、あるいは自分で鼻歌を口ずさんだとき、無意識にその曲やメロディの調を頭の中に作りだしますこれは音感があろうがなかろうが、音楽経験があろうがなかろうが誰にでも備わっているものです。

イメージとしては脳内でその曲の調がカチッとセッティングされるような感じです。また違う調のメロディが耳に入ってくればその度にカチッとその調に切り替わります。

カラオケで歌うときに、イントロなしで歌いだすような曲って最初音をとりづらいですよね。あれは脳内にその曲の調がセットされていない状態で歌い始めるから難しいのです。逆にイントロがある曲ならイントロを聴くことで脳内にその曲の調がセットされるためスムーズに歌いだせるということです。

面白いのは、一度そうやって何かの曲や伴奏で脳内に調がセットされると曲を止めた後も頭の中にはその調の感覚が残ったままになるということ。新たに違う調の曲を聴いたりしない限りはしばらく頭の中に前聴いた曲の調が居座り続けるんですね。

こういった頭の中の状態、「いま何かの調でセットされているな」「あ、また違う調に切り替わったな」というのを意識できるようになるのが重要です。

例えば今「ハッピーバースデー」の曲を口で歌うなり脳内でメロディを思い浮かべるなりしてみてください。するときっと皆さんそれぞれ違う調のハッピーバースデーが生まれていることでしょう。ある人はさっきまで聴いてた曲の調だったり、あるいはほんとにランダムな思いついた調で歌った人もいるかも。

ではこちらを聴いてみてください。

 

聴き終わった後きっと皆さんの頭の中ではもうさっきの調はリセットされて、揃って今聴いたハッピーバースデーの調になっていることでしょう。この切り替わる感じをぜひ意識してください。

調を特定しよう

なるほど調の感覚を意識するのが大事なのね。で、その後はどうするの?

はい、そうなりますね。その曲の調や頭の中にセットされた調が具体的に何調なのかがわからないと次のステップには進めません。ですから次に考えるのが全部で12種類ある調のどれなのかを特定しようということです。

方法はいくつもありますが、初心者の段階でも簡単にできる方法は一つです。ずばり、

「ドの位置を探す」

もちろんCの音という意味ではないですよ。調の主音であるドの位置です。

例えばヘ長調ならFの音がドの位置です。

ニ長調ならDの音がドの位置です。

当たり前ですが12種類の調はそれぞれドの位置が違います。ってことはドの位置さえ特定できればその調もスケールもわかってしまいそうですよね。

ではドの位置の特定の仕方を見ていきましょう。

  • ステップ1
    曲を聴く
    調を当てる題材の曲を聴こう
  • ステップ2
    ドの音の高さをイメージする
    頭の中でドの音の高さを鳴らしてみよう
  • ステップ3
    その高さの音が鍵盤のどれかを探す
    鍵盤を一つ一つ確認して探り当てよう
  • 完了
    調がわかったらメロディを追っていこう

先ほどのハッピーバースデーの曲を例に実際に一連の流れをやってみたのが次の動画です。

一番のポイントは「頭の中でドの音の高さをイメージする」というところですね。ドの音というのは主音と言われるだけあってその調の中で一番落ち着いた感じの音です。曲の最後でジャーンと終わったときの音をイメージしてもらえば一番わかりやすいと思います。

だから実際に曲の終わりを聴いてみればわかることが多いです。ただ、変わった和音での終わり方をしていたり途中で転調(調が変わること)が入っている曲だったりすると上手くいきません。

とはいっても、わざわざ曲を最後まで聴くなんてそんなことしなくていいんです。ある程度曲を聴いて頭の中がその曲の調に馴染んだなーと思ったところで一旦聴くのを止めて、ドの音をイメージしてみましょう。それこそ頭の中でジャーンとその曲を勝手に終わらせてみればきっとドの音がイメージできるはずです。

これさえすんなりできればあとは手あたり次第鍵盤でその音を探るだけ。もう難しいことはありません。

というかこれができたら、それがあなたが最初に身につけた「音感」ということになるんですよ。

ドの音と言われたらジャーンとその音がイメージ出来て、逆にその音を聴けばああこれはドだなとわかる。これは立派な音感です。ドは初心者が一番とっつきやすい音なのでこれを入り口にして、こういう風にわかる音をどんどん増やしていけばいいってことなんです。

トランスポーズ機能をうまく使おう

先ほどの動画で見てもらった通り、調が特定できたらそのあとは手探りでメロディを追っていくことができます。知ってるメロディのドレミが調べられればそれを声に出して歌っていく。これで移動ド唱法の練習が開始できますね!

でもここで、もう少し皆さんを甘やかしたいポイントがあります(笑)

うまく調が特定できるようになったとして、やっぱり調とスケールとドレミの位置が頭に入っていないとメロディ追うのもかなり大変で、面倒臭くないですか?

要は鍵盤を見ただけでこれをちゃんと12種類、頭の中でイメージ出来なきゃいけないってことですからね。音感を鍛えようとしているのにこういう音感と関係ないところで労力を割かなければいけないというのは非効率というか、モチベーションが低下しかねません

そこでひとつ秘策があるのです。

これは電子ピアノを持っている人にしかできない裏技のようなものなのですが、多くの電子ピアノには「トランスポーズ機能」というものが付いています。このトランスポーズ機能というのは音全体を好きなようにずらすことができる機能のことです。

そうです。調がわかりにくいのならずらしてしまえばいいんです。一番わかりやすい調はなんでしたっけ?もちろん白鍵だけのハ長調ですね。

こうすればどんな調が来ても心配ないですね。覚えたメロディは全部ハ長調で映像的に頭に入れればそれぞれのメロディの共通点や違いが認識しやすくなります。

もちろん慣れてきたらトランスポーズ機能なんか使わずにそのままの調でやればいいですし、最終的にはどんな調もパッとわかるくらいになるのが望ましいです。

でも最初からそんな厳しい道を歩かなくていいんです。新しいことを始めるときはそれだけでかなり心理的負荷が大きいですから、できるだけ余計なものを取り除いてハードルを下げることが大事です。でないと全てを放り投げてしまうのが人間です。何度も言いますがやめてしまうのが一番もったいないことですからね!

プロセスはどうあれ目的が達成できればいいんです。ずっしーは甘え、横着、大歓迎です。

※ちなみに絶対音感がある人はこのトランスポーズ機能に違和感を感じてしまうらしく、この方法は使えないようです。まあでも絶対音感があればそもそもメロディをとるのは苦も無くできる人が多いので、このトレーニング自体必要ないかもしれませんね。

ずっしーが歩んだ道

さてさて、調のことがわかったらもう準備は万端です。あとは具体的に移動ド唱法で練習していくことを考えましょう。

初めて取り組む皆さんは、「全体としてどんな流れでやっていくのか」「どのぐらいでできるようになるのか」などなど色々なことが気になってくると思います。

この先はそういったことも含め、要所要所でのコツなども踏まえてずっしーがこれまでやってきた方法をご紹介します。ぶっちゃけこれから言う方法を丸パクリしてくれれば皆さんも同じようにできるようになると思います。

メロディをドレミで歌う

「ひたすらメロディをドレミで歌う」

究極的には移動ド唱法はそれに尽きます。これだけをひたすらやり続けていても効果はあるしそのうちメロディを取れるようにはなると思います。

ポイントは「自分がすでに知っているメロディ」をドレミで歌うということ。

当然のことながら、移動ド唱法では「メロディ」「ドレミの階名」二つをセットで覚えていかなければなりません。

私たちは新しい曲を聴いたときに、ふつう一度聴いただけではそのメロディを覚えられません。何回か耳にしてようやく定着していくものですよね。

きっとこれまでの人生でそれなりに音楽を聴いてきた皆さんなら、今から新しい曲を何度も聞いてメロディを覚える必要もないくらい様々なメロディが頭に入っているはずです。

だったら、すでに知っているメロディからドレミの階名をラベリングして覚えていった方が絶対に効率的じゃないですか。言ってみれば、いままでただ音楽を聴いてきただけで、無意識に音感トレーニングの半分はもう済ませているってことなんです。

もちろんこれから新しい曲を聴くときにも、その都度ドレミの階名をセットで覚えていけばそれもしっかり糧になっていくでしょう。

しらみつぶしトレーニング法

とまあこれだけでも十分と言えば十分なのですが、ずっしーはけっこう完璧主義というか潔癖なところがあって「もっとこう、着実に確実にひとつひとつ潰していきたい」みたいな気持ちがありました。

どういうことかというと「抜けをなくしたい」ということですね。知っているメロディだけでトレーニングしていたらどうしても出てくるパターンに偏りがあるので抜けが生まれてしまいます。なのでずっしーは先ほどの方法に加え、しらみつぶしにやっていく方法も考えて同時に進めていました。

少し全体像の話をしてみましょう。

そもそも音階の音の種類って基本的に「ドレミファソラシ」の7つだけじゃないですか。

ということは、

「この7つの音を判別できるようになればどんなメロディもサラッと聴きとれるようになるんじゃ?」

「ドはもうわかったからあと6つだけ覚えればいいじゃん、楽勝~」

と当時ずっしーは考えました。しかしやっていくうちにわかったのはどうやらそういうものではなさそうだということでした。

これ、「言葉」で例えてみるとわかりやすいです。私たちは言葉を話したり聞いたりするとき、いちいち一文字ずつ理解したりしませんよね。

例えば「昨日の話なんだけど」って言われたときに「き」「の」「う」「の」・・・なんていう風に考えたりはしないはずです。「昨日」「の」「話」「なんだけど」のようにかたまりで認識して意味を読み取りますよね。

実は音楽でも同じようなことをしているんです。メロディも全部一音一音バラバラに認識しているわけじゃなくて、ある程度フレーズのかたまりで頭に入っていってるのです。

だから7種類の音階の音を覚えただけではどんなメロディでも聴きとれるようになるというわけではないのです。そりゃあそうですよね、言葉だってひらがなを覚えただけじゃ読んだり話したりできないとの同じです。

じゃあどうすればいいかというと、メロディもかたまりとして丸ごと覚えていくというのをやればいいのです。2音のかたまりのフレーズ、3音のかたまりのフレーズ、さらに4音、5音と小さなかたまりから大きいかたまりまで色々あります。

まず最初は単音の7種類の音、それがわかるようになったら次は2音のメロディパターン、それができたら次は3音のメロディパターン・・・という風にしらみつぶしにトレーニングをしていけば抜けがなくなり、どんなメロディでも対応できる音感が身に付くのです。

どれくらいで習得できるか

さて、先ほどの方法で取り組んでいったとしてどのくらいの期間でどれくらいできるようになるかというのをずっしーの経験から話してみたいと思います。

【始め~1か月目くらい】

このあたりは一番キツイ時期でなかなか効果が出ません。取れる音がほとんどない時期のため「たった一音聴き取るのにこんな四苦八苦してるのか自分は・・・」とやった量に対して成果が感じられないことが多く、自分は素質がないのかなと思ってしまいがちです。

【2,3か月目~】

単音、2音のフレーズ程度でわかるものが増えていき、似た種類のものが覚えやすくなってきたりします。このあたりが成長を実感できて楽しい時期です。

【半年~】

不完全ながらも「メロディはもう取れるようになったな」と言えるほど自信がつきはじめ、以降は「トレーニングをする」という感覚は消えていきます。なぜかというと、ただ音楽を聴いているだけである程度ドレミの階名が浮かんでくるようになり、特別がんばらなくてもどんどん吸収できてしまうからです。この辺りまで来るとラクだし楽しいという状態になります。

【一年後くらい】

トレーニングをしているという事実をいつの間にか忘れて、メロディが聴きとれるのが当たり前、無意識にできてしまっているレベルになります。初めて聴いたメロディの階名がパッとわかる、間違えずに鍵盤でメロディをなぞれるみたいなことができるようになっています。

つまり最初の一か月くらいの基礎段階をいかに攻略するかが重要で、それさえできればあとはけっこうラクだし適当にやっていても伸びていくということです。


はい、とりあえず移動ド唱法の進め方の全体像はこんな感じです。

今回でだいたい移動ド唱法のやり方のイメージがつかめたのではないでしょうか。とは言っても、もう少し具体的に書けることはあるのでまた別で書いていければと思います。特に最初の一か月くらいの一番厄介なところの乗り越え方、ポイントやコツなどですね。

何か大変そうだな~という感想を持った人もいると思いますが、一つ言っておくとすれば「訓練とかトレーニングとか仰々しいこと言ったけど、やってみると普通に楽しいよ」ということですかね。

早くできるようになりたい!ってのはみんな思うことでしょうけど、ずっしー的にトレーニングしていた期間は音感習得と同時にいろんな音楽の特徴や今まで気づかなかった発見などがあったりして楽しかったな~という感覚が大きいです。

皆さんにもぜひ肩ひじ張らずに楽しみながら取り組んでいってほしいですね。読んでいただきありがとうございました。

5 Comments

にんじん

私はクラシックを少しだけやっていて、ピアノが大嫌いでしたがずっしーさんの動画や記事を見てピアノって楽しそうだなと思えました(笑)私もずっしーさんみたいに弾けるようになりたいです
頑張ります

返信する
ひろ

はじめまして^ – ^
音感をつけたいけど、どうしたらいいか迷子になっていたときに見て、早速はじめました!だいたいこれくらいで効果があるよという話はモチベーションアップになります。挫折せずに楽しく頑張っていきたいと思います^_^

返信する
ぐーぴた

ずっしーさんの音階編第一回の記事を読んで耳コピの練習をはじめました。
現在、3ヶ月目ですが、たまにメロディがわかるようになってきました!
これからも応援しています。

返信する
ありがとう

転調しても上手く弾ける人って全調のドレミファソラシの鍵盤の並びを覚えてるんですね
上手く脳内で楽譜を移動ドに変換するコツなどありますか?

返信する
さいとう

コードの耳コピについてはどのようなトレーニングが必要ですか?特にダイアトニックの何番目(ディグリーと呼ぶのでしょうか)がなっているかだけでも判別できるようになりたいです

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です