耳コピアレンジに必要な音感とは

音感こそが音楽に関するすべての能力の基礎になる、という話を前の記事で述べました。(見てない方はそちらからご覧ください!)

「音感」というとやれ絶対音感だとかいや相対音感だとかよく聞きますよね。聞いた曲をササッと耳コピしたり、自在にアレンジしたりするためには一体どんな音感が必要なのでしょうか?

世の中には聞いた音を寸分も狂いなく完璧にコピーできる類まれなる耳を持っている人がいます。どんなに速く複雑に絡み合っている音も聞き取れてしまう、とんでもない人がいるものですね。

でもこういう特殊なスキルは必要ないんです。

ずっしーの経験上耳コピやアレンジをするのに必要な音感は大きく分けて3つあります。

絶対音感と相対音感

まずそもそもとして、巷でよく話題に上るのが「絶対音感」と「相対音感」の話ですよね。さてさてこいつらは耳コピやアレンジするのに必要な音感なのでしょうか。

絶対音感は必要ではない

絶対音感。そのカッコいい響きからずっしーは子どもの頃こんな勘違いをしていました。

絶対音感=絶対(に外さない完璧最強パーフェクトな)音感

はい、もちろんその意味の「絶対」ではありません。「相対」の反対の意味での絶対です。つまり何か基準の音がなくても音の高さを判別できる能力ということですね。

これは音楽以前の音感です。日常生活で鳴った音の高さがわかったりと音楽がなくても発動できるチート級の音感ですね。あったら超便利、僕も身につけられるならぜひとも欲しいところ!なんですけど…

この絶対音感、残念ながら子供のころ、だいたい6歳前後までに訓練を行わないと身につかないと言われています。ずっしーもピアノを始めたのが遅かったのでこの絶対音感は1ミリもありません。

でも無い人も安心してください。あれば便利だというだけで別に無くても問題ないんです。

相対音感が大事

相対音感。そう、鍛えるべきはこっちなんです。ある音の高さを基準に他の音の高さを判別する能力。音楽を理解するにはこれがあれば十分なんです。

この相対音感は何歳からでも身につけることができます。実際ずっしーも20歳くらいのときにトレーニングを始めたんですがめでたく身につけることができました。

ただ、ちょっと待ってください。相対音感を「ある音を基準にそれと比べて他の音を言い当てられる音感」って思っちゃうとちょっと誤解を招いてしまうかもしれません


ずっしーは最初のころ「相対音感なら今からでも鍛えられます」ということを知り、よっしゃバリバリ鍛えるぞ~と意気込んでこんな訓練を始めてしまいました。

適当に音を一つ鳴らす

もう一つ音を鳴らす

二つの音程を当てる

あるいは同時に二つ音を鳴らして音程を当てるとかもやりました。でもですね、実はこれあんまり意味ないんです!なぜなら調性を考慮していないから

私たちが普段耳にする音楽はほぼ100%調性に基づいた調性音楽です。

例えば「ソ→ド」と「ミ→ラ」と「ド→ファ」は全部同じ音程ですが、この調性の上では全部意味合いが違うんです。というかその音楽的なニュアンスの違いを感じ取れなくては耳コピもアレンジもできるようにはなりません

和音についても同じです。ドミソ、ファラド、ソシレはどれも一見同じメジャーコードという和音なのですが、調性の上ではその機能、それが作る雰囲気流れすべてが違ってきます。

かつてのずっしーはそんなこと知る由もなく上記の意味のないトレーニングに時間を費やしてしまいました。

結局のところ、メロディもコードも調性を無視した音感の訓練はあまり意味がないということです。相対音感というのは「調性を基準に音階や和音を判別する能力」と考えてください。

相対音感というより調性音感という名前の方がその実態をよく表せると思います。(流行らないかな~調性音感って言い方)

調性の音感を鍛える

耳コピやアレンジをするのには調性を基準にした音感が必要なことはわかって頂けたと思います。

では具体的にどんな音感があればよいのでしょうか。ここで最初に言った大きく分けて3つあるという音感の話になるわけです。

すなわち、

音階を判別する音感

和音を判別する音感

コード進行を判別する音感

の3つです。

音階を判別する音感

まず聴き取れるようになるべきものはメロディ和音です。そのうちメロディを聴き取るためには音階を判別する能力が必要です。

音階というのはいわゆるドレミファソラシドってやつですよね。でも本当にみなさん「音階」ってやつを正しく理解していますか?

今ここで「階名」「音名」の違いを言える人は、素晴らしいです!

さてこの二つの違いとはなんでしょう。

音名というのはそのまま、その高さの音についてる名前のことです。↓のような感じ。わかりやすいように音名はアルファベットで書きます。

じゃあ階名はというと…ドはCのところで、ラはAのところだと思いますか?実はそうとは限らないんです。

階名はそれがどの調なのかによって変わってきます。

例えば上のようにヘ長調の場合、「ド」がFの音だったり「ラ」がDの音だったりするのです。

なぜこんなことをするのか。それは音名では調の上での音の役割を表せないからです。

例えばCという音はハ長調とヘ長調ではその音が持つ役割が全くガラッと変わってしまいます。反対に階名ならばいつでもドはドの音の役割をするし、ラもラの役割であり続けてくれます。

つまり階名というのは「調を基準にした音の役割を表すための名前」だということです。

音名がわかってもその調の上での音楽的な役割は見えてきません音楽的な機能は階名からわかるのです。

つまり音階を判別する音感というのはこの階名を感じ取る力ということなのです。

音感の鍛え方~音階編~へ

和音を判別する音感

メロディを聴き取ることができたら次は和音ですね。和音の聴き取りは多くの人が苦労する部分だと思います。

といっても和音の構成音を一音一音すべてをきっちり聞こえるようにならなければならない、というわけではありません。その響きの特徴を大ざっぱにとらえることができればいいのです。

和音の聴き取りにおいてもやはり調の上での役割、機能を意識しなければいけません。

まず和音の土台はベースです。つまり一番低いところで鳴っている音。ベースがどの音階の音なのかで和音の性格のほとんどが決まります。一見膨大に見える和音の種類ですが結局ベースは12種類しかありません。

ベースの上に乗る音はベースに比べれば些細な違いです。(もちろん重要ですが)

ベースが「その調の」どの音階の音なのかがわかればもうほとんどやっつけたも同然と言えます。

基本の和音か調の外の音が入っているか、7th(セブンス)やテンションは入っているか、ボイシングはどんな形か、などの細かな響きの違いはもちろんあります。

でも最初は大ざっぱで良いのです。だんだんわかるようになってきてからそういった細かな違いに耳を傾けていけばいいのです。

(音感の鍛え方~和音編~へ)

コード進行を判別する音感

「コード進行を判別する音感」って、さっきの和音の音感と同じじゃないの?と思う人いると思います。

一般的にこの「コード進行を判別する音感」について書かれたものを僕は見たことがないです。ですが、ずっしーの経験上これは和音の音感とは別に非常に重要な感覚であると思っています。

どういうことか。和音というものはただ音がたくさん同時に鳴っているだけではなく「進行するもの」なのです。つまり変化するということ。

例えばC(ドミソ)というコード、その次にG(ソシレ)というコードが来たとします。するとこの「C→G」という和音の変化がそれ特有の音楽的な流れを作り出します。特筆すべきなのはこれがCやGがそれぞれ単体で鳴っているときのどちらとも異なる雰囲気になるということです。

このようなコードが移り変わることによって生まれた新たな感覚を認識することが耳コピやアレンジをする上で大事になってきます。

いうなれば先ほどの和音単体の音感の話は「和音の縦の感覚」、コードが進行するというのは和音の時間的な変化つまり「和音の横の感覚」とも言えます。

コード進行を判別する音感というのはつまり、和音の変化で生まれる音楽の流れをとらえる音感、和音の横の流れを感じる音感ということなのです。

このように和音に関する音感は大きく二つあるということがわかって頂けたかと思います。

和音の聴き取りは和音の縦と横の両方の音感をたどることでより確かなものになるのです。

(音感の鍛え方~コード進行編~へ)


以上の三つの音感が耳コピアレンジスキルに必要なものたちです。それぞれ別の感覚ではありますがこの三つは互いに関係しあっているので、それぞれの音感がさらにそれぞれの音感を補強していくことになります。

例えば音階がわかればベースの音をとらえやすくなり和音への意識が強くなる、和音の流れがわかればそのパターンから自然な和音使いやメロディがつかみやすくなる、などです。

したがってどれか一個を鍛えるというよりは、それぞれを同時に関連付けながら訓練するのが最も良い方法といえるでしょう。

さて次の記事ではこの三つの音感の具体的なトレーニング方法にまで掘り下げていきたいと思います。

 

絶対音感がある人へ

多かれ少なかれこれまで固定ドに基づいた絶対音感教育で音感を身につけている人は、以降の記事でのずっしーの練習方法は逆に混乱を招くかもしれません。詳しくはこちらの記事をご覧ください→ 絶対音感のこと

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